薬局開局の流れをわかりやすく解説


薬局開局することは夢の実現であり、地域社会への貢献でもあります。

しかし同時に、多くの準備と手続きが必要となる大きな挑戦です。

薬局開局は、計画性と実行力、そして継続的な努力が必要になります。

法律や手続きを理解し準備をしっかりと行うことで、夢の実現に近づいていくでしょう。

地域の医療に貢献できる薬局を目指し、一歩ずつ開局に向けて前進していきましょう。

この記事では、薬局開局までの流れを詳細に解説し、成功へと導くための具体的な流れを紹介していきます。

薬局開局の流れをわかりやすく解説

薬局開局の流れ まずは必要な法的手続きを確認しておく

薬局を開局するためには、様々な法律に基づいた許可や登録が必要です。

以下は、主な許可・登録一覧ですので、まずはこちらを把握しておくのがよいでしょう。

  • 薬局製造販売医薬品の許可:医薬品を製造する場合は、製造業許可、製造販売業許可、製造販売承認を取得します。
  • 毒物及び劇物販売業の登録:毒物や劇物を取り扱う場合は、販売業の登録が必要です。
  • 麻薬小売業の免許:麻薬を取り扱う場合は、麻薬小売業の免許を取得します。
  • 医療機器販売業・賃貸業の許可:医療機器を販売または賃貸する場合は、許可を取得します。
  • 労災保険指定:労災保険の指定を受ける手続きを行います。
  • 公費負担医療の指定:公費負担医療の指定薬局手続きを行います。
  • 保険薬局の調剤報酬:保険薬局として調剤報酬の請求及び受領に関する届出を行います。
  • 高度管理医療機器許可申請:高度管理医療機器の取り扱いがある場合は、許可申請を行います。

必要な法的手続きが確認できたら、続いて薬局開局のための計画を立てていきましょう。

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薬局開局の流れ1 計画を立てる

開局の準備は早ければ早いほど良いでしょう。最低でも6ヶ月前からの準備を推奨します。

開局したい場所の市場調査などから始めてみるのがおすすめ!

開局するエリアの市場調査からはじめましょう。

地域の競合薬局、地域にはどういうニーズがあるのか(年配の方が多い、小さな子どものいるファミリー層が多いなど)、さらに交通の便などを調査します。

より具体的には、以下のような内容が市場調査でわかるとさらに、開局に向けて行動しやすくなります。

  • どんな人が顧客になりそうか?
  • 地域の特徴は?
  • 競合薬局の状況は?
  • 地域住民の健康意識や医療ニーズは?
  • 年齢層、性別、職業、ライフスタイルなど
  • 地域の人はどのようなニーズや悩みを持っているのか?

どんな薬局を開局したいのか?ビジョンの設定を行う

市場調査で集めた情報などをもとに、開局したい薬局のビジョン設定を行っていきましょう。

ビジョンの設定が詳細であればあるほどやるべきことも明確化されるので、薬局開局に向けての作業がスムーズになります。

具体的なビジョンの設定は、以下のようにおこなっていきましょう。

独自の強みを見つける

市場調査による地域のマーケットが分析できたら、続いて自分の強みを分析していきます。

  • 他の薬局と比べて、何が違うのか?
  • 専門性の高い分野、独自のサービス、地域に根差した取り組みなとしてどんなことができるのか
  • 自分の薬局を使う顧客にとってのメリットは?

など、思いつくままに書き出してみるのがおすすめです。

開局への「想い」を明確にしてみる

続いて、自分の薬局を開局するにあたっての「想い」の部分を言語化してみましょう。

この「想い」の部分が経営理念となり、薬局運営の軸となっていきます。

  • なぜ薬局を開きたいのか?
  • 自分の経験や価値観から、薬局を通じて実現したいことは何か?
  • 地域社会に対してどのような貢献をしたいのか?
  • 地域の人にとって、どんな薬局でありたいのか?
  • 患者様にとってどんな存在でありたいのか?
  • どんな薬局の雰囲気を作りたいのか?
  • 患者様とどんな関係を築きたいのか?

「想い」がうまく言葉にできないという人は、上の質問に答えながら作ってみてください。

ビジョンを具体的に言葉やビジュアルで表現し、ビジネスプランを作成する

薬局開局するにあたっての「強み」や「想い」が出揃ったところで最後に、開局にあたってのビジョンをより具体的な言葉やビジュアルで表現していきましょう。

言葉で表現する場合には、できるだけ薬局のコンセプトを手短に。

どのような患者層に貢献したいのか、どのような薬局でありたいのかを明確にしましょう。

例:「地域住民に信頼されるかかりつけ薬局となる」「専門性を活かした、質の高い薬剤サービスを提供する」「専門知識がないような患者さんでも気軽に相談しやすい薬局」

など

また薬局のビジョンを一言で表現するのが難しい場合、ビジュアル要素を活用するのも効果的です。
これにより、薬局のコンセプトやイメージをより直感的に伝えることができます。

実際にビジュアル表現を活用した例は以下の通りです。

・ロゴデザインで表現した場合…「地域に根ざした健康サポート」をコンセプトにする薬局なら、地域の特徴的な植物や建物をモチーフにしたロゴを作成。緑色を基調とし、葉っぱや木のイラストを組み込むことで、自然と健康のイメージを表現できます。
・薬局外観のイメージ図で表現した場合…「親しみやすさと専門性の両立」を目指す薬局なら、明るい色調の建物に大きな窓を配置したイメージ図を作成。入り口にはスロープを設け、ベビーカーや車椅子でも入りやすい様子を描くことで、幅広い年齢層に対応できる薬局であることを視覚的に表現できます。
・スタッフユニフォームのデザインで表現した場合…「最新の医療情報を提供する先進的な薬局」を目指すなら、スタイリッシュでモダンなデザインのユニフォームをイメージ図として作成。白を基調としつつも、アクセントカラーを効果的に使用することで、清潔感と先進性を表現できます。

ビジョンを設定する際のポイントとしては、自分目線ではなく顧客目線で考えるということです。

市場調査の結果を元に顧客から共感を得られるビジョンを設定していきましょう。

またビジョンがデザインなどで表現できるようになると、公式HPや広告などでの使い回しもききやすくなります。

ビジョンが言葉で表現できるようになったら、薬局のコンセプトや提供するサービスを決定します。

どのような患者層に貢献したいのか、どのような薬局でありたいのかを明確にしましょう。

最後にビジネスプラン作成です。

よりリアルな運営に落とし込んだ 収支計画、人員計画、マーケティング戦略などを盛り込んでみてください。

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薬局開局の流れ2 法人設立と銀行口座開設

薬局を開局するには、法人設立が一般的です。

個人事業でも開局は可能ですが、法人設立の方が資金調達や経営管理がしやすいでしょう。

法人を設立する場合には法人登記に必要な書類を準備し、法務局で法人登記を行います。

基本的に必要な書類は以下の通りです。

  • 登記申請書
  • 定款
  • 代表者の本人証明書
  • 資本金の払込証明書

など。

法人が設立できたら、続いて法人名義の金融機関口座を開設していきましょう。

必要な書類は、法人登記簿謄本、代表者の印鑑証明書、法人の印鑑などです。

個人事業の場合でも、事業用の口座を開設しておくのがよいでしょう。

薬局開局の流れ3 テナント契約と信頼性の確保(専門家への相談)

法人設立や金融機関口座の開設が完了したら、いよいよ開局のためのテナント選定を行なっていきます。

どんなテナントが良いのかは、開局したい薬局のビジョンやターゲットとなる顧客層によっても異なりますが、基本的には立地条件、賃料、物件の広さなどを考慮して選んでいくとよいでしょう。

テナントの契約は開局の3ヶ月前までに完了させていきます。

テナントを初めて借りるという方であれば、敷金礼金や保証金、内装工事に関してなど契約内容をよく確認していくことが重要になります。

未然にトラブルを防ぐため弁護士に相談することも検討しましょう。

薬局開局の流れ4 内装工事の開始と業者選定

テナントの契約が完了したら、内装工事についても考えていきます。

まずは内装業者の選定からですが、できるだけ薬局内装に詳しい業者を探し、複数の業者から見積もりを取っていくようにしましょう。

特に、薬局の基本要件を把握している業者を選ぶことがおすすめです。

複数者を比較検討することで工事費用の相場観なども自然と身に付き、より有益な業者に依頼しやすくなります。

依頼する内装業者が決まったら、内装工事前に保健所に相談し設備の適合性を確認してください。

設備の適合性の問題がなければ工事を開始し、完了予定日を設定していきます。

薬局開局の流れ5 保健所への薬局開設許可申請

テナント選定や内装工事と並行して手続きをすすめていくことになりますが、開局の3ヶ月前には、保健所に薬局開設許可の申請を行います。

そのため、申請書類準備は期間に余裕をもって少しずつ行っていきましょう。

保健所への薬局開設許可申請には、薬局の設計図、法人の登記簿謄本、薬剤師免許証、必要に応じて麻薬小売業の免許や高度管理医療機器の申請書類などが必要になってきます。

薬局開局の流れ6 立会検査と必要書類の準備

薬局開局の際には、保健所による立会検査を受ける必要もあります。

立会検査の際には、施設基準を満たしているかの確認や、設置しておくべき備品や書籍についても確認されるでしょう。

そのため立会検査の際にチェックされる備品や書籍などについても、検査前に余裕をもって準備を始めるのがおすすめです。

立会検査の際にチェックされる備品については、以下の厚生労働省のサイトにて確認してみてください。

薬局等構造設備規則の一部を改正する省令の施行について

また立会時に確認される、 必要な書籍や資料もあわせて準備していきましょう。

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薬局開局の流れ7 厚生局への保険薬局調剤基本料申請手続き

保険薬局調剤基本料申請手続きとは、薬局が保険診療で調剤した薬の費用を、健康保険組合などから受け取るための手続きです。

薬局の運営に必要である調剤基本料の申請を厚生局に行います。

申請手続きの詳細は地域によって異なるため、事前に厚生局に確認が必要です。

保険薬局調剤基本料申請手続きの承認までの時間は、残念ながら一概には言えません。

なぜなら、健康保険組合によって審査の厳しさや処理速度が異なるからです。

また申請書類の内容や提出時期によっても、審査に時間がかかる場合があります。

例えば、申請書類に不備があった場合や提出時期が繁忙期だった場合には、同じ組合に申請をしても承認が降りる時間には違いが生じます。

一般的には、数週間から数ヶ月程度で承認が下りるケースが多いようですが、中には数ヶ月以上かかる場合もありますので、こちらも期間に余裕を持ってすすめていくのがよいでしょう。

薬局開局の流れ8 地域医療連携機関認定

地域医療連携機関認定とは、地域医療をより良くするために、他の医療機関や介護施設などと連携して積極的に活動している病院や診療所などを、国が認めた証のことです。

地域医療連携機関として認定を受けることで、地域社会との連携を強化し、薬局の信頼性を高めることができます。

認定を受けるためには、

  • 他の医療機関(医師)や介護施設との連携体制がしっかりしていること
  • 患者さんの情報共有がスムーズに行われていること
  • 地域住民向けの健康教育や啓発活動を行っていること

など、様々な条件を満たす必要があります。

地域医療連携機関は、地域医療の質向上に貢献している機関として信頼性のある薬局という認証がもらえるでしょう。

薬局開局の流れ9 薬局開局後の運営

ここまで解説してきた手順をしっかりとすすめていけば、薬局開局まですすむことが可能です。
しかし薬局開局後も、日々やるべき業務はたくさんあります。

メイン業務である調剤業務に加えレセプト(診療報酬請求書)の作成や請求・在庫管理・会計処理などの事務作業。

調剤や服薬指導だけでなく、患者様の相談にも親身に耳を傾け、アドバイスしたり、安心して薬を服用できるようにサポートしていくような電話や来店での患者対応。

その他にも規模によって採用業務や顧客満足度向上など、様々な課題に立ち向かう必要があります。

薬局開局後、実際にどのような業務を行っていくのかもしっかりと情報収集しておくのがよいでしょう。

また、少ない人数で始める場合には業務のボリューム過多になることも多いので、経理・人事・法務関連などのバックオフィス業務を依頼できる外注先などを事前に調べておくのもおすすめです。

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薬局開局の流れをわかりやすく解説 まとめ

薬局開局は、計画性と実行力、そして継続的な努力が必要です。法律や手続きを理解し、準備をしっかりと行うことで、夢の実現に近づきます。

地域の医療に貢献できる薬局を目指し、着々と準備をすすめていきましょう。


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